浮かす毛鉤とは、まさに飛んで水面に落ちた虫

テンカラとは?

 

如何でしょう、テンカラと聞いて何となく掴みどころのない釣り方だと思っていませんか?

私の最初の印象は極めれば凄い釣り方で、驚く釣果が得られるとの確信から始まりました。

 

私の渓流釣りのスタートはエサ釣りなので、可もなく不可もなく必ず少しは釣れていました。

入渓者の少ない源流に行けば行くほど釣果は上がりますし、流れに少し濁りが入っていたり、早朝だったり夕マズメだったりするとなおさらです。

 

どんどん源流へ源流へと誘われるように向かいました。

 

 ある時本屋での立ち読みで凄いことを発見、凄い技がある事を知ったのです。

それが職漁師の毛鉤を使った釣り方でした。

 

簡単に説明すると、水面を流れてくる虫を岩魚が捕食する日常を観察して、それを応用した釣法です。

 

初夏の虫、盛夏の虫、秋口の虫、季節に応じて流れてくる虫達を毛鉤を使って真似たのです。

 

芋虫タイプ、羽虫タイプ、蛾や蝶タイプ、蜘蛛やトンボや甲虫類、これらの虫類は空から水面に落ち流れてゆき、岩魚のエサとなります。

 

水中で生活している虫たちもいろいろ生息しておりますが、これは羽虫達の幼虫時代の姿で、ある時期が来ると羽化して空に飛び立ち、交尾をして水の中に卵を産むのです。

 

羽化の時を近くで見たことがあります。

水面に頭を出している岩の脇から、小さい白い虫がゾロゾロと水の中から這い上がり、やがて一斉に飛び立ち空で乱舞、卵を水の中へ産み落とし最後の務めを果たして死んでゆくのです。

 

このシーンは結構感動的でした。

 

水中で良く見かける虫たちには、オニチョロ、ピンチョロ、カメチョロ、くろかわ虫、等いろいろ俗称で呼ばれていますが、私が見た乱舞はピンチョロの羽化の瞬間でした。

 

 これらの虫たちは釣り上げた岩魚の胃の内容物を調べると良く分かります。

驚く事に私の経験では、ほとんどが羽虫類で胃の中は埋まっていました。

 

もちろんブナ虫の発生時期は、胃の中がはちきれんばかりに緑色のブナ虫で溢れておりましたが、それ以外は羽虫タイプがほとんどです。

 

岩魚を釣るためにはこれらの情報がとても重要なのです。

昔の職漁師たちはこの情報を基に毛鉤を巻き、仕掛けを作り岩魚の習性を理解し、経験を重ねて岩魚釣りを職業にしていたのです。

 

 海から離れた山里では岩魚は貴重な魚だったようです。

岩魚釣りだけで何人もの子供を育てた職漁師がいたと聞きました。

 

この虫たちを真似て毛鉤を作り、工夫を重ね『テンカラ釣り』として発展させてきたようですが、残念ながらこの釣法は一子相伝だった為に、時代の変化に適用出来ず現代に伝えられずに消えてしまったようです。

 

私は試行錯誤を繰り返して復活させ、この釣法を使って楽しんでおります。

 

つまり水面を流れて来る虫を真似て岩魚を釣るのですが、直接職漁師から伝授された訳ではなく、多少現代風にアレンジもしましたので私は『我流テンカラ』と呼んでおります。

 

条件の良い時には二時間程で70~80匹を釣った事があります。正に入れ食い状態となりました。

7月後半で時間はお昼前後だったと思います。風もあまりなく天気は晴れで、場所は何度も通う山形県の渓です。

 

渓の状況は水深の浅い俗に言う『チャラ瀬』を下流から慎重に釣り上がりました。

同行の釣り仲間の小池君も驚いて今も記憶しているようです。

 

しかしその後も同じような経験を何度もしているので、この釣法が岩魚の習性を良く理解した優れた釣法なのではないかと考えられます。

 

 細かな注意点は多々ありますが、この岩魚の習性を忘れなければ大丈夫です。

工夫を凝らして挑戦してみて下さい。

 

 細かな点は『我流テンカラ 五十年の回想録』の中に書いておきましたので参考にして下さい。