こんな分け方は失礼極まりないとお叱りを受けそうですが、私自身の成長の過程を振り返りながら
良く釣れるようになるまでを段階的に分けてみたのです。
一口にテンカラ釣りと言ってもドライテンカラ、ウェットテンカラとに分かれますが、私はドライテンカラ釣りをお勧めしています。
まさに毛鉤を浮かせて釣る釣法です。
私の場合、毛鉤に転向してから少し釣れるようになるまでを『初級』、だいたい3シーズンぐらいは必要だったと思います。
独学ならもう少し時間がかかることもありますが、エサ釣りに戻ろうかと悩む時期です。
そして渓流釣りに限らず、魚は深いところに隠れているものだと信じておりましたが、その既成概念を捨てる事からスタートです。
『 なぜ毛鉤なのか』の中で説明したように、昼間活発にエサを捕食している場所は浅瀬なのです。
それを信じて進まないと先には進みません。
それを信じて決して諦めず続けることが、夢の世界につながる道と信じて下さい。
最初に上達を阻む最大の原因がこれです。深場ではなく釣れる場所は『浅瀬』なのです。
岩魚の居付くポイントが理解でき、どうアプローチするかが見えてくる時期が『中級』です。
そして有効な毛鉤は何かと模索する時期に入ります。
色々な種類の毛鉤を巻いて試してみるのも楽しい事です。
色、形、大きさ、流し方、時間帯、どれも正しそうでどれも確信が持てない時期になってきます。
これに季節が加わりますと更に混沌としてきます。
これらの事は上達を阻む要因ではなく、上達の為の取捨選択の時期に入ったのだろうと考えています。
恐らく5年、長い人は10年ぐらい悩むと思われます。
ここでの問題は無理に結論を出さない事ではないかと思います。
私がたどった道は状況に応じた毛鉤選びではなく、毛鉤の打ち込み方、つまりアプローチの仕方を
色々試したのです。
つまり鏡の様な水面にふわりと毛鉤を落とす方法や、緩く波立つ水面に毛鉤が流れて行く虫をイメージさせる方法を試したり、水面に落ちた虫がもがく様子を再現したりと色々と試しました。
恐らく昔の職漁師に何種類もの毛鉤が準備出来るはずがないと考え、一つの毛鉤をあらゆる状況に
対応させていたのではないかと考えていたからです。
この疑問には私の本『我流テンカラ五十年の回想録』の中で、25ページに紹介した1873年アメリカで創刊された雑誌『フォレスト&ストリーム』に掲載された記事『西洋から見た和式毛ばり』を錦織則政氏が翻訳されたものの中にその答えがありました。
無理に何かを決め付けないで柔軟に対応する事が、更に上達する秘訣ではないかと思います。
無理な決めつけは上達を阻む原因となります。
上級者とは沢に立ち上流を眺め、その沢をどのように攻略するかを瞬時に判断出来る、経験値を
持っている釣り師なのではないでしょうか。
次項→ 仕掛けについて
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